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2022/9/1

完璧主義をあきらめる勇気―実践編~茶教勉強会~

完璧主義をあきらめる勇気~実践編

 

“戦後”77年目の夏を迎えました。

しかし国際情勢が不安定な今、

日本は理想主義と現実主義の狭間で揺れ動いています。

核廃絶という「理想」と核の傘に依存する安全保障という「現実」。

この二極の価値観はいつの時代も対立します。

ただ、両方の視点がなければ解決には至らないといつも思います。

よいか悪いか

敵か味方か

YesかNoか

成功か失敗か

このように私たちは身の回りで起こる出来事を認識する際に、

二項対立あるいは二分法的な図式で思考しています。

なぜそのような極端な思考、完璧主義的な思考で

物事を捉えようするのでしょう。

それは私たちが「わかりやすさ」を過剰に求める傾向にあるからです。

 

「わかる」という言葉の語源は「分ける」ことです。

私たちは目の前の事柄を自分の経験の枠組みの中に分類できたときに

「分かった」と感じて、納得したり、安心したりします。

だから物事を両極端のどちらかにはめ込むことはとてもわかりやすいのです。

ただ世の中は両極端にパキッと分けられるほど単純ではありません。

このわかりやすさはどちらにも分けにくい部分を捨てることによって

生まれているのであり、わかりやすくなればなるほど、

一部分しか捉えることができなくなっていくというジレンマがあるのです。

そしてわかりやすいからこそ、

わかった気になってそれ以上突き詰めなくなります。

そこで満足し、そこからさらに深く考えることができなくなるのです。

 

「世の中のことはほとんどがグレーゾーンの濃淡の中にある」

世の中のことで二者択一できるものはほとんどなく、

あらゆる物事の背景は複雑に絡み合い、

それに向き合う私たちの頭の中も複雑にできています。

だからその複雑さを理解しようとするならば、

安易に分かろうとせず、分けにくくて捨てられがちな部分、

わかりにくい部分に意識して目を向ける力が必要だと思います。

そしてその複雑さに耐えられるように「わからなさを抱える力」

「心の余白」を持つことが大切だと思うのです。

物事を多面的に捉えながら、グレーゾーンで粘り強く解決の糸口を探る。

困難に直面したときに最善の選択をしていくために必要なのは、

こうした思考の体力ではないでしょうか。

そして、思考の体力をつけるための大切な考え方として「中庸」があります。

 

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、

「徳のある在り方」は両極端の中庸であると言います。

例えば「勇気」という徳については「臆病」というほんのわずかな危険の兆候が

あるだけで反射的に逃げてしまう勇敢さの不足でもなく、

「向こう見ず」という結果を考えずに危険な状況に飛び込んでしまう

勇敢さの超過でもなく、両極に挟まれた中庸が「勇気」なのです。

ですから勇気のある人とは、一目散に逃げる人や、

がむしゃらに進んでいく人でないだけでなく、単にほどほどに進む人でもない。

そうではなく、その場で最も的確な立ち向かい方をする人なのです。

 

そしてこの中庸の原則は子育てや人材育成にも当てはまると考えます。

例えば教育においては、過干渉ではなく、放任でもなく、

両極のバランス型が理想だと言います。

健全な成長をとげ、成熟するには、子どもは自分で失敗にも対処し、

困難な期間を苦しみながらくぐり抜け、

つらい感情もある程度は味わわなければならないのです。

ただし、子どもに遠回りをする余地を与える必要があるといっても、

ほったらかしにしておいてもよいというわけではありません。

子どもが助けを必要としたら対応できるように、

適切なタイミングで適切な指導ができるように、

親として見守る姿勢をもっておくことが大切だと思うのです。

 

また、二宮尊徳の言葉

「可愛くば、五つ教えて、三つ褒め、二つ叱って、良き人となせ」

褒めて伸ばすことは大事、ただ褒めるだけでなく

正しく叱ることも大切だということです。

つまり「ほめる」と「叱る」のバランスが大事だということでしょう。

 

私たちは多様な価値観が混在する中で、矛盾を抱えながら生きています。

「絶対に」「必ず」という限定的な価値観は、

ある意味純粋さを持ち完璧主義の特徴でもあります。

そういった一元的な価値観で世界を覆いつくそうとすれば、

そこから外れた人は排除され、社会は平和にならないでしょう。

多様な価値観が混ぜ合わされた不純な世界だからこそ、

希望の光が見つけられるような気がします。

矛盾に満ちた不純な世界で生の複雑さと向き合いながら、

中庸点を見つける旅は途方もなく、一生旅は続くでしょう。

それでもやり続けることが人生の幸せや平和へつながっていく、

私はそう信じています。

 

茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、

知識を得るだけでなく実践につなげていき、

人格として身につけることを目的としています。

学びを深め、学んだことを実践することで美しさは培われます。

そうして得られた美しさは自身の幸せ、

ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。

そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、

お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。

皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。

 

月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。

ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。

お申込みお待ちしております。

 

椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理

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