ニュース HOME > ニュース > 冒険の旅に出よう2~茶教勉強会~ 2023/6/4 冒険の旅に出よう2~茶教勉強会~ 「冒険」の旅に出よう~孫泰蔵著『冒険の書』を読んで~ ―ゆらぎながら生きるー 剣の修行 十年で己の強さに気づく二十年で相手の強さに気づく三十年で己の弱さに気づく四十年で何が何だか訳がわからなくなる 誰の言葉なのか、どこに出典があるのかも分かりませんが、偶然見かけて感銘を受けた言葉です。以前、息子の家庭内暴力に苦しみ続けた父親が、解決のために試行錯誤を重ねたものの、最終的に自らの手で息子を殺害してしまったという事件がありました。私はその時「自分はそんなことは絶対にしない人間」だと思っていました。自分は強くて、揺るがなくて、「正しい」と確信していたのです。しかしながら娘が神経症になり、不安定な状態の娘と日々向き合わなければならず、自分の心も荒んでいくなかでこう思うようになりました。「自分も同じことをやってしまうかもしれない――」。このショッキングな経験は、強くて揺るがなくて正しい自分というのは一面にすぎない、自分には強さと弱さという矛盾が混在しているのだと気づかせてくれました。そして当初普遍的であると確信していた自らの考えは揺らぎます。何が正しいのか、どれが本当の自分なのだろうか――。自分自身についてわからなくなってしまったのです。そんな「ゆらぐ」自分に嫌悪感を抱かずにはいられませんでした。でも「ゆらぎながら生きる」ことが実は大切なのだということを、これもまた娘との日々を通じて学ぶことになったのです。 心の病気が回復していくのは「時薬」などと言って、徐々に段階を踏んでいくものと考えていました。しかし、人生に絶望し沈むときもあれば、前向きに生きていこうとするときもある。その間を揺らぎながら立ち直っていくということが分かってきました。ゆらぎを否定せず大切にしていくことが、心の回復を促すのです。まさにゆらぎを認める仏教の思想「中道」に通じることだと思いました。この中道とは、ちょうどよくバランスが取れた真ん中の道という意味ではなく、「一方に偏らない心」という意味。「こうでなければならない」という道があるのではなく、極端と極端の間に居ればいい、幅広い道の間を揺らぎながら生きていくことを認めているのです。ゆらぐ自分を認め、ゆらぎの循環を繰り返し、積み重ねていくことで、人はより洗練され、より良い生き方になるはず。そんな思いを大切に冒険を楽しみたい、そう思います。 ―変わる自分を意識する― 「勉強しなさい」なぜ親はそう言うのでしょう?それは「勉強して『能力』を高めることこそが幸せになるための唯一の道だ」と信じているから。でもこれは親の思い込みに過ぎないのです。能力というのはあくまで結果論であり、同じようなことをしている他人との比較なのですから。それにもかかわらず能力を盲信した結果、子どもたちは能力を身につけるために良い学校へ行くという目先の目標に向かって、ひたすら勉強させられることになったのです。そして成績が良かったらほめられ、悪かったら努力しなかったせいだと責められる。平等な教育という名のもとで子どもたちに順位づけを行い、さらにその順位は自分の努力の結果(責任)であることを押しつける。能力信仰と自己責任は現代社会に大きな影響を及ぼし、「格差や不平等があってもしかたがない」と思わせ、それが人々を分断して不幸に追いやっているということなのです。 私は自身もこうした社会に疑問をもたずに生きてきてしまったことに愕然とし、同時にこのような解決の見えない無力感を覚えるような問題に立ちむかうためにどうしたらよいかを考えました。そして一つ大事なことを知ったのです。それは「Thinking outside the box」。これは「これまでとは違う新しい視点で型にはまらない考え方をする」という意味です。私たちは無意識のうちに「常識」や「自分の正しさ」という箱の中にいます。だからまず「自分たちは箱の中にいる」と気づくこと。そしてその箱から出て、外から眺めてみることが必要なのです。ただその箱から出ることは自分の正しさを疑い、自分の不完全さを受け入れることであり、簡単なことではありません。もしかすると出られないかもしれない――。それでも自分の正しさを見つめ直し、他者の正しさを知ろうとする目を持ち、箱の中から出ようとし続けることが重要なのだと思います。一筋縄ではいかない冒険の旅。長く、永く続きそうです。茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、知識を得るだけでなく実践につなげていき、人格として身につけることを目的としています。学びを深め、学んだことを実践することで美しさは培われます。そうして得られた美しさは自身の幸せ、ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。 月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。お申込みお待ちしております。 椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理
「冒険」の旅に出よう~孫泰蔵著『冒険の書』を読んで~
―ゆらぎながら生きるー
剣の修行
十年で己の強さに気づく
二十年で相手の強さに気づく
三十年で己の弱さに気づく
四十年で何が何だか訳がわからなくなる
誰の言葉なのか、どこに出典があるのかも分かりませんが、
偶然見かけて感銘を受けた言葉です。
以前、息子の家庭内暴力に苦しみ続けた父親が、
解決のために試行錯誤を重ねたものの、
最終的に自らの手で息子を殺害してしまったという事件がありました。
私はその時「自分はそんなことは絶対にしない人間」だと思っていました。
自分は強くて、揺るがなくて、「正しい」と確信していたのです。
しかしながら娘が神経症になり、
不安定な状態の娘と日々向き合わなければならず、
自分の心も荒んでいくなかでこう思うようになりました。
「自分も同じことをやってしまうかもしれない――」。
このショッキングな経験は、
強くて揺るがなくて正しい自分というのは一面にすぎない、
自分には強さと弱さという矛盾が混在しているのだと気づかせてくれました。
そして当初普遍的であると確信していた自らの考えは揺らぎます。
何が正しいのか、どれが本当の自分なのだろうか――。
自分自身についてわからなくなってしまったのです。
そんな「ゆらぐ」自分に嫌悪感を抱かずにはいられませんでした。
でも「ゆらぎながら生きる」ことが実は大切なのだということを、
これもまた娘との日々を通じて学ぶことになったのです。
心の病気が回復していくのは「時薬」などと言って、
徐々に段階を踏んでいくものと考えていました。
しかし、人生に絶望し沈むときもあれば、
前向きに生きていこうとするときもある。
その間を揺らぎながら立ち直っていくということが分かってきました。
ゆらぎを否定せず大切にしていくことが、心の回復を促すのです。
まさにゆらぎを認める仏教の思想「中道」に通じることだと思いました。
この中道とは、ちょうどよくバランスが取れた真ん中の道という意味ではなく、
「一方に偏らない心」という意味。
「こうでなければならない」という道があるのではなく、
極端と極端の間に居ればいい、
幅広い道の間を揺らぎながら生きていくことを認めているのです。
ゆらぐ自分を認め、ゆらぎの循環を繰り返し、積み重ねていくことで、
人はより洗練され、より良い生き方になるはず。
そんな思いを大切に冒険を楽しみたい、そう思います。
―変わる自分を意識する―
「勉強しなさい」
なぜ親はそう言うのでしょう?
それは「勉強して『能力』を高めることこそが幸せになるための唯一の道だ」と
信じているから。でもこれは親の思い込みに過ぎないのです。
能力というのはあくまで結果論であり、
同じようなことをしている他人との比較なのですから。
それにもかかわらず能力を盲信した結果、
子どもたちは能力を身につけるために良い学校へ行くという
目先の目標に向かって、ひたすら勉強させられることになったのです。
そして成績が良かったらほめられ、
悪かったら努力しなかったせいだと責められる。
平等な教育という名のもとで子どもたちに順位づけを行い、
さらにその順位は自分の努力の結果(責任)であることを押しつける。
能力信仰と自己責任は現代社会に大きな影響を及ぼし、
「格差や不平等があってもしかたがない」と思わせ、
それが人々を分断して不幸に追いやっているということなのです。
私は自身もこうした社会に疑問をもたずに生きてきてしまったことに愕然とし、
同時にこのような解決の見えない無力感を覚えるような問題に立ちむかうために
どうしたらよいかを考えました。
そして一つ大事なことを知ったのです。
それは「Thinking outside the box」。
これは「これまでとは違う新しい視点で型にはまらない考え方をする」
という意味です。
私たちは無意識のうちに「常識」や「自分の正しさ」という箱の中にいます。
だからまず「自分たちは箱の中にいる」と気づくこと。
そしてその箱から出て、外から眺めてみることが必要なのです。
ただその箱から出ることは自分の正しさを疑い、
自分の不完全さを受け入れることであり、簡単なことではありません。
もしかすると出られないかもしれない――。
それでも自分の正しさを見つめ直し、
他者の正しさを知ろうとする目を持ち、
箱の中から出ようとし続けることが重要なのだと思います。
一筋縄ではいかない冒険の旅。
長く、永く続きそうです。
茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、
知識を得るだけでなく実践につなげていき、
人格として身につけることを目的としています。
学びを深め、学んだことを実践することで美しさは培われます。
そうして得られた美しさは自身の幸せ、
ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。
そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、
お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。
皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。
月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。
ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。
お申込みお待ちしております。
椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理