ニュース HOME > ニュース > やなせたかしの明日をひらく言葉~茶教勉強会~ 2024/2/4 やなせたかしの明日をひらく言葉~茶教勉強会~ ―絶望の隣には、希望がそっと座っている― 2011年3月11日の東日本大震災の際、凄まじい津波に耐え、岩手県・陸前高田でたった1本だけ生き残った樹齢260年以上とされる「奇跡の一本松」に、アンパンマンの作者であるやなせたかしさんは「ヒョロ松」と名づけ、92歳当時の自分自身と重ねました。幼少期における親兄弟との死別、戦争、妻と永遠の別れ、闘病…と七転八倒し、喪失と絶望の繰り返しで、この老木のように自分も孤絶だったと。それでも、何度もくじけそうになりながらも、この老木のように困難に立ち向かい、生き続けてきたのだと。 人生は基本的に愛別離苦。生きることは苦しいし、人生はむしろ悲しみの方が強い。だから私たちはともすれば人生終わりと“捨て鉢”の考えになりがちだけれど、ちょっとそこで踏みこたえる。すると、絶望で見えていなかった希望が見えたりする。一寸先は闇というけれど、一寸先は光になることが往々にしてあるのだとやなせさんは言うのです。そしてやなせさん69歳にしてアンパンマンのヒットという形で光がさすことになります。そこに至るまでくじけずに生き抜いたやなせさんの生き方や考え方には、私たちが生きる上で大事なヒントがあると思うのです。【やなせ流生き方① 流行を追わず、好きなものを描く】やなせさんは仕事に「精神的な毒」は決して入れませんでした。暴力的で刺激的なものが流行したときも、本や音楽は精神の栄養であり、体を流れる血になるからと、流行を追うことはしなかったのです。収入が少ないときも、この考え方は曲げませんでした。そしていつも自分の好きなこと、自分が描きたいものだけを描いてきたのです。「人生は椅子取りゲーム」だとやなせさんが言っていたけれど、自分にうそをつかない仕事を続けてきたことで、ちゃんと席が空き、出番がやってくるということなのでしょう。 【やなせ流生き方② 漫画家精神を忘れない】漫画家の仕事があまりなくて苦しくても、漫画っていうのは、一つのピンチを切り抜けることがギャグになり、アイデアになるとやなせさんは言います。そしてそれが自分の人生でできないとすれば、それは本当の漫画家じゃないと。さらにはそれを面白がれる心が、踏みとどまる支えとなり、その経験は積もり積もってやなせ作品を誕生させることに繋がっていきました。 【やなせ流生き方③ “うどんこ”の生き方】「本当は“運・鈍・根”なのだけれど、僕の場合は運と根気は半分ぐらいなので、うどんこ」だとやなせさんは言います。器用に立ち回ることができない自分は(鈍)、眼の前のことを愚直に根気よくやり続けていったら(根)、結果的に運の道を歩いていた(運)、と。「虚仮の一念」で花が咲くことがある。アンパンマンはそうした長い歳月から生まれた「運」だったといいます。 【やなせ流生き方④ 困ったときのやなせさん】畑違いの仕事を次々と引き受けたことからついたあだ名が「困ったときのやなせさん」。専門分野以外の仕事をしているうちに、それが化学反応を起こしていくこともあるし、新しい人間関係が広がることもあったと言います。そしてやなせさんは漫画へのこだわりを持ちつつ、他の仕事を引き受けてやっていくことで、新たな気づきがあり、創作の方向性が明らかになっていったのです。 ―アンパンマンがヒットした理由― アンパンマンはとってもわかりやすい。やなせさんは、絵本も詩も「わかりやすさ」を心がけていると言います。わからないと楽しむにも楽しめないからと。でもなぜか限りなく深さを感じてしまうのは、やなせさんが自身のメッセージをしっかり入れているからなのでしょう。 【アンパンマンが深い理由① 絶対的な正義】アンパンマンの声を担当している戸田恵子さんが作者のやなせたかしさんから最初に言われた言葉「アンパンマンは世界一弱いヒーローなんです」。アンパンマンは川で溺れている人がいれば、顔が水にぬれて弱っても救う。空腹で元気をなくしている人がいれば力が弱くなっても自分の顔をちぎって与える。正義のヒーローとは強い人が圧倒的な力で相手を叩きのめすのではなく、たとえ自分が傷ついても弱い立場にいる人を助けることだというのです。ここにあるやなせさんの思い、それは“逆転する正義のための戦いなんてどこにもない、絶対的正義とは弱い者を助けることだ”ということ。やなせさんは自身の戦争体験からそのことを痛感したのだといいます。 【アンパンマンの深い理由② 善と悪が戦いながら共生している】「アンパンマンが暴力で物事を解決するのが解せない」という意見をたまに見かけますが、そう結論するのは早計かもしれません。アンパンマンとバイキンマンは食品とバイキン。食品にとってバイキンは敵だからやっつけようとします。ただバイキンを全滅させれば良いかといえばダメで、パンは酵母菌という菌がなければつくれません。アンパンマンはバイキンマンと戦いながら共生しているのです。さらにはアンパンマンとバイキンマンの戦いは、誰しもが抱く良い心と悪い心の象徴であり、常に悪い心を自身のアンパンチで制御しながら良い人間であろうとバランスを保っている人間そのものを表しているといえます。やなせさんも「世の中にはある程度の悪が必要。現実の社会はそういうところが厳しい」といい、アンパンチとは平和なバランスを保つための「調整剤」ともいえる気がするのです。 【アンパンマンの深い理由③ アンパンマンは“喜ばせごっこ”の世界】やなせさんは生きているのは人を喜ばせるためで、人を喜ばせることが一番嬉しいと常々言っていたそうです。そしてアンパンマンの世界はまさに喜ばせごっこの世界。アンパンマンは顔を食べさせられるし、てんどんまんは世界一おいしい天丼が作れるし、SLマンは子どもたちを乗せてどこまでも遠くに行ける。登場するキャラクターは、自分の特技やできることで周りを喜ばせています。「自分の役割を全うする=相手が喜ぶ=自分が嬉しい」と、喜ばせることが自分の喜びになっているのです。アンパンマンは“喜ばせごっこ”という現代には見えづらくなったこの幸せの法則を忘れないでほしい、そんなやなせさんの願いが込められた作品なのかもしれません。そうならアンパンマンは深い。わかりやすさと奥深さが一体となったアンパンマンだからこそ、永く愛されるアニメになっているのだと思います。 茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、知識を得るだけでなく実践につなげていき、人格として身につけることを目的としています。学びを深め、学んだことを実践することでs美しさは培われます。そうして得られた美しさは自身の幸せ、ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。 月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。お申込みお待ちしております。 椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理
―絶望の隣には、希望がそっと座っている―
2011年3月11日の東日本大震災の際、凄まじい津波に耐え、岩手県・陸前高田で
たった1本だけ生き残った樹齢260年以上とされる「奇跡の一本松」に、
アンパンマンの作者であるやなせたかしさんは「ヒョロ松」と名づけ、
92歳当時の自分自身と重ねました。
幼少期における親兄弟との死別、戦争、妻と永遠の別れ、闘病…と七転八倒し、
喪失と絶望の繰り返しで、この老木のように自分も孤絶だったと。
それでも、何度もくじけそうになりながらも、
この老木のように困難に立ち向かい、生き続けてきたのだと。
人生は基本的に愛別離苦。
生きることは苦しいし、人生はむしろ悲しみの方が強い。
だから私たちはともすれば人生終わりと“捨て鉢”の考えになりがちだけれど、
ちょっとそこで踏みこたえる。
すると、絶望で見えていなかった希望が見えたりする。
一寸先は闇というけれど、
一寸先は光になることが往々にしてあるのだとやなせさんは言うのです。
そしてやなせさん69歳にして
アンパンマンのヒットという形で光がさすことになります。
そこに至るまでくじけずに生き抜いたやなせさんの生き方や考え方には、
私たちが生きる上で大事なヒントがあると思うのです。
【やなせ流生き方① 流行を追わず、好きなものを描く】
やなせさんは仕事に「精神的な毒」は決して入れませんでした。
暴力的で刺激的なものが流行したときも、本や音楽は精神の栄養であり、
体を流れる血になるからと、流行を追うことはしなかったのです。
収入が少ないときも、この考え方は曲げませんでした。
そしていつも自分の好きなこと、自分が描きたいものだけを描いてきたのです。
「人生は椅子取りゲーム」だとやなせさんが言っていたけれど、
自分にうそをつかない仕事を続けてきたことで、
ちゃんと席が空き、出番がやってくるということなのでしょう。
【やなせ流生き方② 漫画家精神を忘れない】
漫画家の仕事があまりなくて苦しくても、漫画っていうのは、
一つのピンチを切り抜けることがギャグになり、
アイデアになるとやなせさんは言います。
そしてそれが自分の人生でできないとすれば、それは本当の漫画家じゃないと。
さらにはそれを面白がれる心が、踏みとどまる支えとなり、
その経験は積もり積もってやなせ作品を誕生させることに繋がっていきました。
【やなせ流生き方③ “うどんこ”の生き方】
「本当は“運・鈍・根”なのだけれど、僕の場合は運と根気は半分ぐらいなので、
うどんこ」だとやなせさんは言います。
器用に立ち回ることができない自分は(鈍)、
眼の前のことを愚直に根気よくやり続けていったら(根)、
結果的に運の道を歩いていた(運)、と。
「虚仮の一念」で花が咲くことがある。
アンパンマンはそうした長い歳月から生まれた「運」だったといいます。
【やなせ流生き方④ 困ったときのやなせさん】
畑違いの仕事を次々と引き受けたことからついたあだ名が
「困ったときのやなせさん」。
専門分野以外の仕事をしているうちに、
それが化学反応を起こしていくこともあるし、
新しい人間関係が広がることもあったと言います。
そしてやなせさんは漫画へのこだわりを持ちつつ、
他の仕事を引き受けてやっていくことで、新たな気づきがあり、
創作の方向性が明らかになっていったのです。
―アンパンマンがヒットした理由―
アンパンマンはとってもわかりやすい。
やなせさんは、絵本も詩も「わかりやすさ」を心がけていると言います。
わからないと楽しむにも楽しめないからと。
でもなぜか限りなく深さを感じてしまうのは、
やなせさんが自身のメッセージをしっかり入れているからなのでしょう。
【アンパンマンが深い理由① 絶対的な正義】
アンパンマンの声を担当している戸田恵子さんが作者のやなせたかしさんから
最初に言われた言葉「アンパンマンは世界一弱いヒーローなんです」。
アンパンマンは川で溺れている人がいれば、顔が水にぬれて弱っても救う。
空腹で元気をなくしている人がいれば
力が弱くなっても自分の顔をちぎって与える。
正義のヒーローとは強い人が圧倒的な力で相手を叩きのめすのではなく、
たとえ自分が傷ついても弱い立場にいる人を助けることだというのです。
ここにあるやなせさんの思い、それは“逆転する正義のための戦いなんて
どこにもない、絶対的正義とは弱い者を助けることだ”ということ。
やなせさんは自身の戦争体験からそのことを痛感したのだといいます。
【アンパンマンの深い理由② 善と悪が戦いながら共生している】
「アンパンマンが暴力で物事を解決するのが解せない」
という意見をたまに見かけますが、そう結論するのは早計かもしれません。
アンパンマンとバイキンマンは食品とバイキン。
食品にとってバイキンは敵だからやっつけようとします。
ただバイキンを全滅させれば良いかといえばダメで、
パンは酵母菌という菌がなければつくれません。
アンパンマンはバイキンマンと戦いながら共生しているのです。
さらにはアンパンマンとバイキンマンの戦いは、
誰しもが抱く良い心と悪い心の象徴であり、
常に悪い心を自身のアンパンチで制御しながら良い人間であろうと
バランスを保っている人間そのものを表しているといえます。
やなせさんも「世の中にはある程度の悪が必要。
現実の社会はそういうところが厳しい」といい、アンパンチとは
平和なバランスを保つための「調整剤」ともいえる気がするのです。
【アンパンマンの深い理由③ アンパンマンは“喜ばせごっこ”の世界】
やなせさんは生きているのは人を喜ばせるためで、
人を喜ばせることが一番嬉しいと常々言っていたそうです。
そしてアンパンマンの世界はまさに喜ばせごっこの世界。
アンパンマンは顔を食べさせられるし、
てんどんまんは世界一おいしい天丼が作れるし、
SLマンは子どもたちを乗せてどこまでも遠くに行ける。
登場するキャラクターは、自分の特技やできることで周りを喜ばせています。
「自分の役割を全うする=相手が喜ぶ=自分が嬉しい」と、
喜ばせることが自分の喜びになっているのです。
アンパンマンは“喜ばせごっこ”という
現代には見えづらくなったこの幸せの法則を忘れないでほしい、
そんなやなせさんの願いが込められた作品なのかもしれません。
そうならアンパンマンは深い。
わかりやすさと奥深さが一体となったアンパンマンだからこそ、
永く愛されるアニメになっているのだと思います。
茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、
知識を得るだけでなく実践につなげていき、
人格として身につけることを目的としています。
学びを深め、学んだことを実践することでs美しさは培われます。
そうして得られた美しさは自身の幸せ、
ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。
そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、
お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。
皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。
月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。
ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。
お申込みお待ちしております。
椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理