ニュース HOME > ニュース > 「正しさ」の時代の向こうへ~茶教勉強会~ 2022/10/31 「正しさ」の時代の向こうへ~茶教勉強会~ 「正しさ」の時代の向こうへ ―光が多いところでは、影も強くなるー これはドイツの詩人、小説家ゲーテの言葉です。現代においては「正しさ」という光がとても強い光を放っていると思います。「多様性」「平和」「平等」「共生」「常識」「生きる」など、疑うはずもないような絶対性をもつ「正しさ」。正しいことが尊ばれること自体はとても大切なことだと思います。ただ「正しさ」が問答無用で賞賛され、受け入れるべきものと評価されるほど、光の強さは増し、その影は一層濃くなっていくのです。 影の中にいるのは、その「正しさ」に違和感を覚えている人たち。誰もが信じている正しさに反対すれば、自分が極悪非道な悪者になってしまう。だからそのことを恐れ、口には出せないまま、不満や苦しみが降り積もっていき、影を濃くしているのです。とかく人は正しさで明るく照らせているところだけを見てしまいます。しかしながら、その裏には光の強さに比例する強さの影の部分が必ず存在することを忘れてはいけないのです。 ―正しさの影にひそむ声なき者たちー 世の中の「進歩」によって、多様な生き方がみとめられ、「おひとりさま」でも生きやすくはなったし、「弱者」「生きるのがきつい人」も声をあげられるようになりました。そのこと自体は、「良いこと」だとは思うのです。でも多様性の正しさのせいでしわ寄せがきている人は声もあげられずに苦しんでいるのではないでしょうか。 “弱者”という病名がついた人の「苦しい」は尊重されなければならないけれど、ギリギリのところで踏ん張って、日々の仕事をこなしている人たちは「だって、あなたはそれができているんでしょう?なら良いんじゃない?病気じゃないんだし。うらやましいですね」と温かい言葉さえかけてもらえない。 現代において、弱者や少数者、マイノリティを守ることは、当たり前の「正しさ」。だけどどうして自分たちはこの人たちより強いとはいえないのに、マイノリティでないというだけで守ってもらえないのだろうと、モヤモヤした複雑な思いが募ってしまうのです。 そして名もなき、声なき者たちは「今はそういう世の中だし、全体としては、生きやすくなっているはず」という理性と、「でも、この現在置かれている状況は自分が割を食っているだけではないのか」という感情が、つねにせめぎあっているのです。 ―「正しさ」はときに人を傷つける刃にもなるー 正しければすべて良いわけじゃない――本当の意味でそう気づいたのは、娘が神経症になってから。それまで私は娘に「いかに自分の意見は正しいか」を説明していました。どこからどう考えても自分の意見は正しいだろうし、専門家も同じことを言っていたし、世間でも多くの人が「正しい」と言うだろうと。しかしながら娘は納得するどころか、不機嫌になったり、怒ったりするばかり。正論を言われた娘が傷ついていることに、私は気づいていなかったのです。「正しさ」を求めすぎているかもしれない、と私はあらためて気づきました。失敗や欠点や短所に対してとても否定的な自分がいる。そして心の奥の方がそういうものを凄く恐れている。自分自身の「正しくない」部分を許せていないから、周りの人の「正しくない」部分もどこか許せていない自分がいるのです。 しかしそもそも常に正しくあることが必要なのでしょうか。下村一善さんは著書『美女の正体』で「正論を振りかざす女性より、方便を使える女性のほうが、美しい」と言っています。方便とは「場を見てスルーする力、相手の顔を立ててあげられる器の大きさ、『どっちでもいいや』と身を引くセンス、結論を先送りにできる心の強さ」ということ。確かにそんなしなやかで、柔らかくて、したたかな方が豊かな自分になれるでしょうし、美しい気がします。 だから「正しい」にがんじがらめになって、捕らわれて、押し付けないようにしたい。「正しくない」も「正しい」も受け入れられる、そんな器の大きな人になりたい――。「正しい」を語る自分に無理に蓋する必要はないと思うけれど、でも「正しくない」をもう少し楽しめる自分になれたらいい、今はそんな風に思っています。茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、知識を得るだけでなく実践につなげていき、人格として身につけることを目的としています。学びを深め、学んだことを実践することで美しさは培われます。そうして得られた美しさは自身の幸せ、ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。 月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。お申込みお待ちしております。 椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理
「正しさ」の時代の向こうへ
―光が多いところでは、影も強くなるー
これはドイツの詩人、小説家ゲーテの言葉です。
現代においては「正しさ」という光がとても強い光を放っていると思います。
「多様性」「平和」「平等」「共生」「常識」「生きる」など、
疑うはずもないような絶対性をもつ「正しさ」。
正しいことが尊ばれること自体はとても大切なことだと思います。
ただ「正しさ」が問答無用で賞賛され、受け入れるべきものと評価されるほど、
光の強さは増し、その影は一層濃くなっていくのです。
影の中にいるのは、その「正しさ」に違和感を覚えている人たち。
誰もが信じている正しさに反対すれば、自分が極悪非道な悪者になってしまう。
だからそのことを恐れ、口には出せないまま、
不満や苦しみが降り積もっていき、影を濃くしているのです。
とかく人は正しさで明るく照らせているところだけを見てしまいます。
しかしながら、その裏には光の強さに比例する強さの影の部分が
必ず存在することを忘れてはいけないのです。
―正しさの影にひそむ声なき者たちー
世の中の「進歩」によって、多様な生き方がみとめられ、
「おひとりさま」でも生きやすくはなったし、
「弱者」「生きるのがきつい人」も声をあげられるようになりました。
そのこと自体は、「良いこと」だとは思うのです。
でも多様性の正しさのせいでしわ寄せがきている人は
声もあげられずに苦しんでいるのではないでしょうか。
“弱者”という病名がついた人の「苦しい」は尊重されなければならないけれど、
ギリギリのところで踏ん張って、日々の仕事をこなしている人たちは
「だって、あなたはそれができているんでしょう?なら良いんじゃない?
病気じゃないんだし。うらやましいですね」
と温かい言葉さえかけてもらえない。
現代において、弱者や少数者、マイノリティを守ることは、
当たり前の「正しさ」。
だけどどうして自分たちはこの人たちより強いとはいえないのに、
マイノリティでないというだけで守ってもらえないのだろうと、
モヤモヤした複雑な思いが募ってしまうのです。
そして名もなき、声なき者たちは「今はそういう世の中だし、
全体としては、生きやすくなっているはず」という理性と、
「でも、この現在置かれている状況は自分が割を食っているだけではないのか」
という感情が、つねにせめぎあっているのです。
―「正しさ」はときに人を傷つける刃にもなるー
正しければすべて良いわけじゃない――本当の意味でそう気づいたのは、
娘が神経症になってから。
それまで私は娘に「いかに自分の意見は正しいか」を説明していました。
どこからどう考えても自分の意見は正しいだろうし、
専門家も同じことを言っていたし、
世間でも多くの人が「正しい」と言うだろうと。
しかしながら娘は納得するどころか、不機嫌になったり、怒ったりするばかり。
正論を言われた娘が傷ついていることに、私は気づいていなかったのです。
「正しさ」を求めすぎているかもしれない、と私はあらためて気づきました。
失敗や欠点や短所に対してとても否定的な自分がいる。
そして心の奥の方がそういうものを凄く恐れている。
自分自身の「正しくない」部分を許せていないから、
周りの人の「正しくない」部分もどこか許せていない自分がいるのです。
しかしそもそも常に正しくあることが必要なのでしょうか。
下村一善さんは著書『美女の正体』で
「正論を振りかざす女性より、方便を使える女性のほうが、美しい」
と言っています。
方便とは
「場を見てスルーする力、相手の顔を立ててあげられる器の大きさ、
『どっちでもいいや』と身を引くセンス、結論を先送りにできる心の強さ」
ということ。
確かにそんなしなやかで、柔らかくて、したたかな方が
豊かな自分になれるでしょうし、美しい気がします。
だから「正しい」にがんじがらめになって、
捕らわれて、押し付けないようにしたい。
「正しくない」も「正しい」も受け入れられる、
そんな器の大きな人になりたい――。
「正しい」を語る自分に無理に蓋する必要はないと思うけれど、
でも「正しくない」をもう少し楽しめる自分になれたらいい、
今はそんな風に思っています。
茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、
知識を得るだけでなく実践につなげていき、
人格として身につけることを目的としています。
学びを深め、学んだことを実践することで美しさは培われます。
そうして得られた美しさは自身の幸せ、
ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。
そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、
お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。
皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。
月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。
ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。
お申込みお待ちしております。
椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理