ニュース HOME > ニュース > 大事なことは目に見えない~茶教勉強会~ 2022/11/29 大事なことは目に見えない~茶教勉強会~ ―大事なことは目に見えないー ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。人間たちは、こういう真理を忘れてしまった。 サン=テグジュペリ作 『星の王子さま』 より これはサン=テグジュペリ作 河野万里子訳『星の王子さま』にある言葉です。魂、空気、意識、心、思い、愛…。どれも目には見えないものですが、それらは確かに存在しています。かつて私たちは東洋思想にもある「見えないものを見る」ことを重視した価値観を大切に生きていました。しかしながら現代社会になって、私たちは目に見えるものを確かなものとし、分りやすいものだけを意識して物事を見る傾向がついてしまったように思います。目に見える、わかりやすい価値を追求していくことは、その時一瞬は満足な環境や時間を味わえても、時間がたてば何か物足りなさを感じ、つねに満たされない思いに駆られるのです。 相田みつをさんの言葉に「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根はみえねんだなぁ」というのがあります。私たちは目に見える花や葉の美しさに感動しますが、それを支える根に注目する人はほとんどいません。見えないところで頑張っている根があると知ることで、目に見えない大切さに気づく人間でありたい、そう思います。それが「本当の幸せとは何か」に気づける人間になるということだと思っています。 ―「我利我利」ではなく「自利利他」ー 我利我利とは「自分さえよければ、他人はどうなってもよい」という自分勝手な心です。我利我利の精神で欲を満たそうとすれば、他人と争ったり、他人を押しのけていったりと、自分の欲を最優先して、相手のことを全く考えていない自分になっているかもしれません。すると他人から信頼されることも尊敬されることもなく、気づいたときには独りぼっちになっていたということも。生きるということは「他人と一緒に」が前提になるので、我利我利の心では欲を満たすことができても、心は満たされないでしょう。 仏教では、我利我利の反対に「自利利他」の精神が勧められています。これは「他人を幸せにすることが自分の幸せになる」ということ。他人の役に立てたことが自分の喜びとなり、他人の喜びもまた自分の喜びのように感じることができるのです。他人も自分も幸せにする心がけが自利利他なのだと言えるでしょう。 多くの人は自分の欲を満たすことで幸せになれると思っています。しかし、一時的には満足できても、それでは心が満たされないようです。このように感情的で一瞬しか続かない短い幸せのことをポジティブ心理学では「Happiness」としています。一方これと区別して持続する幸せのことを「Well being」と呼び、他人の幸せを最優先に考えて行動したら、最終的に自分の心が満たされ、持続する幸せが訪れると言います。なぜなら幸せの花は、他人と自分との間に咲くからです。思いやりや幸せといった目に見えないものを大事にすることがWell beingをもたらすと言えるのではないでしょうか。 ―人を理解するカギは「想像力」ー 人間は関係の結び目にすぎない。 サン=テグジュペリ『戦う操縦士』14章より 生きていくことは、人々や事物の間に見えない多くの関係を築いていくこと。ただ、人と関わるということは傷つくことも多く、悩みがつきないもので、どうせ分かり合えないとあきらめてしまったりすることもあるのではないでしょうか。人間関係がうまくいかないのはたいていの場合「相手のことを理解できない」ことが原因です。そのような理解できない相手を理解するためには、表面には現れていない目には見えない相手の気持ちや考えを想像することが大切になります。それはなかなか理解できない相手の言動のうらにある価値観や考え方がどんなものか想像すること。「相手には相手の理屈が必ずある」と考えて意識して、その人の言動を見ることが必要なのです。相手がどんな価値観の持ち主なのかが見えてくると、まず、相手の行動の理由や原因が理解できないという状況が減ります。そして、そのように相手方の行動の理由や原因が見えてくると、だんだんとその理解を前提に行動するようになるので、相手との摩擦や衝突が減っていきます。このようなステップを重ねていけば、自ずと相手との人間関係は良好になっていくことでしょう。 現代社会では私も含めて、見えているものだけで判断し、共感できる人やものだけを選ぶことを無意識的におこなっているような気がします。だからこそ意識的に「今の自分の価値観とは合わないかもしれないもの」にも手を伸ばすようにしています。「自分とは違う価値観の存在がある」と認識できるように。そして自分とは違う価値観を傍に置いておくことで、相手を理解する「想像力」を失わないでいられるようにしたい、そんな風に思っています。 茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、知識を得るだけでなく実践につなげていき、人格として身につけることを目的としています。学びを深め、学んだことを実践することで美しさは培われます。そうして得られた美しさは自身の幸せ、ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。 月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。お申込みお待ちしております。 椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理
―大事なことは目に見えないー
ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、目に見えない。
人間たちは、こういう真理を忘れてしまった。
サン=テグジュペリ作 『星の王子さま』 より
これはサン=テグジュペリ作 河野万里子訳『星の王子さま』にある言葉です。
魂、空気、意識、心、思い、愛…。どれも目には見えないものですが、
それらは確かに存在しています。
かつて私たちは東洋思想にもある「見えないものを見る」ことを重視した
価値観を大切に生きていました。
しかしながら現代社会になって、私たちは目に見えるものを確かなものとし、
分りやすいものだけを意識して
物事を見る傾向がついてしまったように思います。
目に見える、わかりやすい価値を追求していくことは、
その時一瞬は満足な環境や時間を味わえても、
時間がたてば何か物足りなさを感じ、
つねに満たされない思いに駆られるのです。
相田みつをさんの言葉に
「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根はみえねんだなぁ」
というのがあります。
私たちは目に見える花や葉の美しさに感動しますが、
それを支える根に注目する人はほとんどいません。
見えないところで頑張っている根があると知ることで、
目に見えない大切さに気づく人間でありたい、そう思います。
それが「本当の幸せとは何か」に気づける人間になる
ということだと思っています。
―「我利我利」ではなく「自利利他」ー
我利我利とは「自分さえよければ、他人はどうなってもよい」
という自分勝手な心です。
我利我利の精神で欲を満たそうとすれば、他人と争ったり、
他人を押しのけていったりと、自分の欲を最優先して、
相手のことを全く考えていない自分になっているかもしれません。
すると他人から信頼されることも尊敬されることもなく、
気づいたときには独りぼっちになっていたということも。
生きるということは「他人と一緒に」が前提になるので、
我利我利の心では欲を満たすことができても、心は満たされないでしょう。
仏教では、我利我利の反対に「自利利他」の精神が勧められています。
これは「他人を幸せにすることが自分の幸せになる」ということ。
他人の役に立てたことが自分の喜びとなり、
他人の喜びもまた自分の喜びのように感じることができるのです。
他人も自分も幸せにする心がけが自利利他なのだと言えるでしょう。
多くの人は自分の欲を満たすことで幸せになれると思っています。
しかし、一時的には満足できても、それでは心が満たされないようです。
このように感情的で一瞬しか続かない短い幸せのことを
ポジティブ心理学では「Happiness」としています。
一方これと区別して持続する幸せのことを「Well being」と呼び、
他人の幸せを最優先に考えて行動したら、最終的に自分の心が満たされ、
持続する幸せが訪れると言います。
なぜなら幸せの花は、他人と自分との間に咲くからです。
思いやりや幸せといった目に見えないものを大事にすることが
Well beingをもたらすと言えるのではないでしょうか。
―人を理解するカギは「想像力」ー
人間は関係の結び目にすぎない。
サン=テグジュペリ『戦う操縦士』14章より
生きていくことは、人々や事物の間に見えない多くの関係を築いていくこと。
ただ、人と関わるということは傷つくことも多く、
悩みがつきないもので、どうせ分かり合えないと
あきらめてしまったりすることもあるのではないでしょうか。
人間関係がうまくいかないのはたいていの場合
「相手のことを理解できない」ことが原因です。
そのような理解できない相手を理解するためには、
表面には現れていない目には見えない相手の気持ちや考えを
想像することが大切になります。
それはなかなか理解できない相手の言動のうらにある
価値観や考え方がどんなものか想像すること。
「相手には相手の理屈が必ずある」と考えて意識して、
その人の言動を見ることが必要なのです。
相手がどんな価値観の持ち主なのかが見えてくると、
まず、相手の行動の理由や原因が理解できないという状況が減ります。
そして、そのように相手方の行動の理由や原因が見えてくると、
だんだんとその理解を前提に行動するようになるので、
相手との摩擦や衝突が減っていきます。
このようなステップを重ねていけば、
自ずと相手との人間関係は良好になっていくことでしょう。
現代社会では私も含めて、見えているものだけで判断し、
共感できる人やものだけを選ぶことを
無意識的におこなっているような気がします。
だからこそ意識的に「今の自分の価値観とは合わないかもしれないもの」
にも手を伸ばすようにしています。
「自分とは違う価値観の存在がある」と認識できるように。
そして自分とは違う価値観を傍に置いておくことで、
相手を理解する「想像力」を失わないでいられるようにしたい、
そんな風に思っています。
茶教勉強会は、「知行合一」をモットーに、
知識を得るだけでなく実践につなげていき、
人格として身につけることを目的としています。
学びを深め、学んだことを実践することで美しさは培われます。
そうして得られた美しさは自身の幸せ、
ひいてはみんなの幸せにつながると確信しています。
そんな美しい人を目指してテーブルスタイル茶道では心のあり方を学びながら、
お互いを高め合う活動を行っています。ぜひ茶教勉強会にご参加ください。
皆さんと一緒に豊かな生き方を追求できたらと思っています。
月に一回、椿の会本部(名鉄鳴海駅 徒歩5分)にて開催しております。
ご新規様は1,000円にてご参加いただけます(zoomでのご参加も可能です)。
お申込みお待ちしております。
椿の会テーブルスタイル茶道 副代表 久野 麻理